カクテルメイク社CEO松尾氏、CMO毛利氏に訊く 動画制作向けプロジェクトコミュニケーションツール「Tukuru cloud」とその展開

かんたんに言うと
  • 動画制作向けツール Tukuru cloud を発表したカクテルメイク社CEO松尾氏、CMO毛利氏へインタビュー
  • Tukuru cloudは動画制作の「修正指示」「ファイル管理」「案件管理」を簡略化できる機能が特長。その他のポイントも紹介
  • 進行管理に使いやすいツールであると同時に、クリエイターの制作業務が楽になるツールを目指しているという

先日お伝えした、動画制作向けプロジェクトコミュニケーションツール「Tukuru cloud(ツクルクラウド)」。
直感的に矢印やオブジェクトを描き込むなど、Web上で動画の共有や修正伝達が行うことができるというツールで、制作された動画が数秒でチームに共有され、確認からレビューまでの時間が短縮されることにより、品質の向上とコスト削減効果が見込めるという。

カクテルメイク、動画制作に特化したプロジェクトコミュニケーションツール「Tukuru cloud」を公開

2017年7月20日 | eizine

カクテルメイク株式会社は動画制作向けコミュニケーションツール「Tukuru cloud」を公開。同ツールは、直感的に矢印やオブジェクトを描き込むなど、web上で動画の共有や修正伝達が行うことができるという。素材受取から動画確認、修正対応、納品やその後のファイル管理までおこなえると発表している。

「Tukuru cloud」をリリースしたカクテルメイク株式会社は、これまでシステム開発だけでなく、お酒にスポットをあてた動画メディア「Coaster(コースター)」やWeb動画制作の受託事業を手がけてきた。
自社で動画制作をおこなっている同社が「Tukuru cloud」をリリースした経緯やサービスの詳細、今後についてなどを、同社代表取締役 CEOの松尾幸治氏、CMOの毛利直矢氏にお話を伺う機会をいただいた。

(左)CEO 松尾幸治氏 (右)CMO 毛利直矢氏

カクテルメイク社 – Tukuru cloudについて

–はじめに、Tukuru cloudの開発経緯について教えてください


松尾氏:会社を立ち上げてから、もともと動画制作とシステム開発の2つの事業を行なっておりました。

会社として立ち上げて、一番最初に事業をどのように行っていこうかと考えた際に、自分たちの自社サービスをやっていくか、受託をやっていくかを決めようと。
その時期はまだネット周りの動画業界というのが今ほどグイグイ来ていなかった時期だったので、もう少しこれからどういうものにニーズがあるのか、何が必要になるか見定めようということで、まずはシステムの受託も動画制作の受託も両方受けながら、その中で自分たちが「動画制作のこういうところ不便だよね」とか「こういうところがもっとこうなったほうがいいのにね」といったようなノウハウを貯めていきました。

画像:カクテルメイク社 Tukuru cloud資料より引用


松尾氏:動画制作を通して、1年以上自社のシステムとして「Tukuru cloud」を活用して業務効率化を行ってきました。実際に自社でも一人当たり1日約2時間の時間削減に繋がり、「これうちでも使えない?」と他社さまからの声も増えてきたので今回のリリースに至りました。

画像:Tukuru cloud コメント投稿画面

                                                
–Tukuru cloudの機能の特長を教えてください


松尾氏:大きく3つあります。動画に書き込んだり動画のタイムライン上でチャットができる「修正指示機能」、動画ファイルだけではなくPDFやZIPなどプロジェクト全体のファイルを一元管理できる「ファイル管理機能」、案件や企業ごとにどのプロジェクトが動いているかを管理できる「案件管理機能」です。

画像:カクテルメイク社 Tukuru cloud資料より引用


松尾氏:同じ場所に管理者、ディレクター、クリエイターがまとまって作業をするなら直接指示が出せるのかもしれませんが、なかなか難しいですよね。
現状、私達もそうなのですがネット動画コンテンツの制作においてリモートで制作していくというのが主になりつつあるので、離れていても直感的なわかりやすい指示で制作チームのクリエイターに共有されるというTukuru cloudを導入していただくことで、動画制作のリモートワークをより簡単に実現することができると思います。

                                                
–ちなみに、ひとくちに「動画制作向け」といっても多岐にわたると思いますが、推奨する動画コンテンツはどういったものでしょうか


松尾氏:テレビや映画などというよりは、インターネット向けのコンテンツがメインになってくるのではないでしょうか?

カクテルメイク社が提供する動画メディア「coaster」より


毛利氏:ただデータとしては、一応1ファイルあたり20GBまでは入るようにはしています。
利用できるストレージ容量が決まっていますので、その範囲であれば活用できるかと思います。

フォーマットに関しては、基本的な動画フォーマット(mp4,movなど)であれば、Tukuru cloud内で開くことができ、修正依頼などを直接書き込むことができます。
また、jpg,png,zipといったファイルも開けます。
プロジェクトファイルなども、単純にクラウドストレージのような形と一緒で共有することは可能です。

画像:カクテルメイク社 Tukuru cloud資料より引用

                                                
–公開されている製品ページを確認しましたが、利用は法人のみとなっているのでしょうか?


松尾氏:個人向けのご要望が多いのですが今のところは法人のみで展開しております。
現段階はどちらかというと広告代理店であったり、弊社の「Coaster」のような定期配信型動画メディアの運営を考えている企業様がメインだと考えております。

現在の機能では、上に発注主がいてクリエイターや制作会社へ繋ぐ立場のような、中間管理側の法人企業様にまず使っていただけたらなと。
できるだけはやめに個人クリエイター版もサービスローンチしたいと考えております。

画像:カクテルメイク社 Tukuru cloud資料より引用

                                                
–料金体系などはどのようになっているのでしょうか?


毛利氏:現在は試験的に法人向けスタンダードプランという料金プランのみで提供しています。
1契約あたり、プロジェクト数、利用できるクライアント・クリエイター数は無制限、ディレクターは15人を上限に利用できます。
ストレージ容量が決まっていまして、それを超える形で利用する場合は追加オプションも別途用意しています。
料金プランの金額面など詳細に関しましては、お問い合わせからのみ公開しています。

                                                   

また、現在は提供していないが、個人向けに提供する際は当然法人向けとは違う料金体系での提供になる予定とのことだった。
                                                  

Tukuru cloudの今後


松尾氏:現在まだ公開していないのですが、どのクリエイターがどのぐらいの作業量に対し作業時間をかけたか、フリーの方だったら、タイムチャージ(時間報酬)制みたいな形で表示させて、どういう作業項目をどれくらいの時間をかけて処理していったかみたいなことを管理できる機能を準備しています。


毛利氏:この機能は、クリエイターが何時間作業したのか、作業時間と金額のような項目や、どのプロジェクトに対しどういう作業をしました、という日報のような形でTukuru cloud上から管理者側へ申請をすると、リストになって管理者は確認する事ができるというものです。

AというクリエイターからBという作業をこれだけやりました、というような申請が管理者側に来るので、管理者は管理画面から申請に対し承認ボタンを押下するだけで、作業にあたるクリエイター側へ今までどれだけ働いてどれだけお金になっているのかなど情報を返し、クリエイター側も情報を確認することができます。

画像:Tukuru cloudプロジェクト管理画面(例)


松尾氏:これを活用していただくことで、制作会社側からしても、1つの案件に対しどれくらいの時間が何のものにかかったかというのも明確にできるかとおもいます。
また、一つ一つ作業を見える化することによって、企業側にも各個人のクリエイター側にも発注受注した仕事に対して正当な評価ができるような土台を作りたいという想いがあります。
中間で進行管理する方々にとって使いやすいツールであると同時に、やはり、クリエイター側にとって業務が楽になるツールでありたいと考えています。

                                                

まとめ

取材の最後に、Tukuru cloudの機能として追加できるか、マネタイズをするかは別とした上で、クラウドソーシングのような機能も追加したいとおっしゃっていた。
いわゆるポートフォリオ機能をもつサービスは比較的多く存在するが、こちらなら見せたい相手に対して、どういう仕事に対しどれくらいの時間で誰とどのようにやってきたかを可視化できるということだ。
Tukuru cloudのような制作管理用のツールが日本でも浸透しはじめてきたが、その中でも今後の動画制作ビジネスで重要なツールのひとつになる可能性は十分にあると感じた。

また、カクテルメイク社は先日、ネットメディアなどに向けたニュース動画制作ツール「RICHKA(リチカ)」をリリース
クラウド上でニュース動画制作をスピーディーに、簡単に制作できるサービスで、ネットメディアのニュース動画制作をさらに加速させていきそうなツールだ。
注目すべきツールを次々とリリースするカクテルメイク社。今後の展開に是非注目して欲しい。

                                                   

関連情報リンク

カクテルメイク株式会社
Tukuru cloud 製品ページ

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