日本映画の「製作委員会」ってなに? 独特の慣習がはらむ功罪

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日本映画の「製作委員会」ってなに? 独特の慣習がはらむ功罪

2016年11月4日 | 出典:現代ビジネス

製作委員会ってなんだろう?

映画製作における資金調達の方法として、日本映画界で主流となった「製作委員会方式」について、当時金融業界で仕事をしていた筆者が、国内外の識者にお話を伺いながら調べた経緯を、先月から連載している。

先月の記事では、製作委員会という組織が法人格を持たない点に注目して、これに起因する、主にビジネス面における問題点を検証した。

具体的には、製作委員会はいわゆる「会社」ではなく、日本の民法上の「任意組合」にあたる組織であり、この特異性が原因となって、諸外国において、あらゆる日本映画のリメイク案件が頓挫してきた経緯を振り返った。

1,200億円程度に留まる国内の邦画市場に比べて、アメリカ(約1兆1,000億円)や中国(約6,800億円)をはじめとする諸外国には、巨大な映画市場が存在する。こうした市場において、日本映画をリメイクする需要が非常に強いことを鑑みると、本来、邦画のリメイク権の販売は、一つの立派な輸出産業として成立していても不思議ではない。

この記事は『製作委員会方式の謎〈後編〉』として前後編に分かれて出典元で公開されています。

前篇記事は下記リンクよりご覧いただけます。

筆者と株式会社コルク

筆者は投資銀行、ヘッジファンドにて国内外勤務を経て株式会社コルク取締役副社長を務める寺田悠馬氏。

株式会社コルクは作家のエージェント業務を行なう企業。

講談社に入社後、週刊モーニング編集部にて『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』などの編集を担当した、佐渡島庸平氏が独立後立ち上げた会社。

前編はこちら

なぜ日本映画の「リメイク権」は一大輸出産業にならないのか?

2016年10月7日 | 現代ビジネス

映画が大好きで、時間が許す限り映画館に足を運ぶ。この連載でも、過去に『アナと雪の女王』や『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』といった作品について書いてきたが、ハリウッド映画に限らず、またジャンルを問わず、たくさん映画を観る。


製作委員会方式への記事としてこんな記事も

東宝“単独製作”『シン・ゴジラ』で露呈した製作委員会方式の功罪

2016年8月27日 | ORICON STYLE

中身に関しては、すでにいろいろ取りざたされているが、ひとつ製作面で重要なことがある。本作が、東宝による“単独”で製作されたことだ。これは、製作委員会方式と言われる企業数社参加型の製作体制が主流の今の映画界では、全く稀なことなのである。東宝は、これまですべてのゴジラ映画を自社単独で製作してきた(ハリウッド版は除く)。ゴジラ(映画)は、東宝が戦後長く培ってきた同社のブランドであり、これに他社の参加を募ることはしないということだ。


関連情報リンク

株式会社コルク

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