僕らはいつか、”何者”かになれるのだろうか 映画『何者』特集<後編>

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僕らはいつか、“何者”かになれるのだろうか 映画『何者』特集<後編> 直木賞作家・朝井リョウ × 映画監督・三浦大輔 対談

2016年10月26日 | 出典:早稲田ウィークリー

今回大学が舞台で、お二人とも年代は違えど、同じ早稲田大学の戸山キャンパスに通われていたということで。

朝井
はい。僕は文化構想学部卒業なんですけど、あえて小説の中に早稲田の空気を出そうとはしませんでした。なんか早稲田出身の人が早稲田のこと書くのって、すごく嫌がられません? 他の大学の人が自分の母校を書くより、世間の拒否反応が強いよう気がするんです。例えば立教出身の人が立教のことを書いても何も思わないんですけど、早稲田の人が早稲田のことを書いたら「あー、ハイハイそういうやつね」って思ってしまう。実際、読者としての僕もそうですし。
三浦
なんとなく分かります。演劇の世界でも早稲田出身の人は多くて、例えば自分の舞台の脚本でも、早稲田をモデルにしたらそういう空気を感じることもありました。
――確かに(笑)。意外と早稲田出身同士でも反発があったりしますよね。愛故に、なのかもしれないですけど。

朝井
早稲田の早稲田による早稲田のための話、みたいに片付けられてしまうことが多いと感じていたので、立地とか雰囲気とか、なるべく早稲田とは違う空気感を出そうとしました。でもやっぱり通っていた大学の感覚は入ってしまうものなんですかね。
三浦
でも『何者』を撮っていたときには、やっぱり常にどこかで早稲田のことを思い出しながら撮っていましたよ。特に僕は、学生時代から演劇をやっていたので、そのときの思いとかサークルの雰囲気、アトリエで公演をやっているときの空気感とか。部室の独特の匂いなんかも意識しました。

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僕らはいつか、“何者”かになれるのだろうか 映画『何者』特集<前編>

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今回の特集では、その映画『何者』〔10月15日(土)より全国東宝系ロードショー〕を媒介に、作品の主幹となる朝井さん、三浦さんのお二人が学生時代をどのように過ごしてきたか、また今作にも少なからず影響を与えた彼ら自身の就活について、もちろん作品づくりについてもたっぷりと伺いました。前編はまず、朝井リョウさんの単独インタビューから。平成生まれの直木賞作家・朝井さんだから言い得た、今の学生に対するリアルな提言とは?

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