『Final Cut Pro X』10.4にアップデート。360度VRビデオ編集に対応、カラーグレーディング、HDRへの対応なども新たに強化しiMac Proに最適化

Appleは、同社のビデオ編集アプリケーションFinal Cut Pro Xについて、360度VRビデオ編集、カラーグレーディングツール、HDRビデオへの対応を含む新機能を追加するメジャーアップデート「Final Cut Pro 10.4」を発表しました。また、今回のアップデートは、既存ユーザには無料アップデートとして提供されます。
最新アップデートでは、同時に発売されたiMac Proに最適化(最大36コアをサポート)されたことによりフル解像度の8Kビデオを編集できるように。また、360度VRビデオへの対応はFinal Cut Pro関連アプリケーションのMotionとCompressorにも及んでいます。

Final Cut Pro 10.4は、既存ユーザには無料アップデートとして提供され、新規購入はMac App Storeを通じて34,800円で販売されます。Motion 5.4、Compressor 4.4もそれぞれ、既存ユーザには無料アップデートとして提供。新規購入は各6,000円にて販売。教育関係の方へは、Pro Apps Bundle for Educationとして6,000円で販売されています。
またmacOS High Sierraで、ユーザー作成コンテンツが利用できなくなる問題が修正されています

Appleのアプリケーション プロダクト マーケティング担当バイスプレジデント、スーザン·プレスコットは以下のように述べています。


プレスコット氏:「360度VRの編集およびモーショングラフィックス、先進的なカラーグレーディング、HDRへの対応といった新機能を備えて、Final Cut Proはビデオエディターの皆様に魅力的な次世代のコンテンツを作り出すのに欠かせないツールを提供します。新登場のiMac Proなど、Macハードウェアのパフォーマンスと組み合わせることにより、Final Cut Proは世界中の何百万というビデオエディターの皆様に信じられないくらいパワフルなポストプロダクション環境を提供します」

360度VRビデオ編集機能

Appleの発表によると、Final Cut Pro 10.4のアップデートにより、360度ビデオの読み込み·編集·書き出しに対応したほか、SteamVR対応HTC VIVEヘッドセットを接続することで編集中のプロジェクトをリアルタイムで確認できるように。360度のタイトルを2Dや3Dで簡単に追加できるほか、ブラーやグローといった没入型のエフェクトを加えたり、視覚コントロールを使って水平を正したり、正距円筒図法のパノラマビデオに映り込んだカメラリグを除去したりといったことが可能になったとのこと。
また、標準的な写真やビデオをVRプロジェクトに加えたり、完成した360度ビデオをYouTube、Facebook、Vimeoといったポピュラーな動画共有サイトに直接アップロードすることもアップデートにより可能になっています。

カラーグレーディング機能

最新アップデートには、カラーグレーディングツールも含まれており、独自のカラーホイールには、色相、彩度、明るさを調節するコントロールが内蔵されています。カラーカーブでは細かいカラー調整が可能で、複数のコントロールポイントを使って特定のカラー範囲を目指したり、スポイトで特定のカラーを抽出してホワイトバランスを手動で合わせることができるといいます。
また、DaVinci Resolveのような定番のカラーグレーディングアプリケーションや、PremiumBeat、Color Grading Centralといったウェブサイトから入手したカスタムLUTを適用することも可能になっています。

HDRビデオへの対応

HDRフォーマットに対応。編集中のビデオは、AJAやBlackmagicから発売されている最大10,000ニトの輝度レベルに対応するI/Oデバイスを通じて、HDRモニタにビデオ出力することが可能となります。新しいカラーグレーディングツールはHDRとSDR両方のビデオに対応しており、トーンマッピングを設定することで、HDRを放送用のSDR出力に変換することもできるといいます。

その他

今回のアップデートで映像系アプリの最低システム要件が引き上げられて、「macOS 10.12.4 Sierra」以降のサポートとなっています。ご注意ください。

「Final Cut Pro 10.4」最低システム条件


macOS 10.12.4以降
4GBのRAM(4K編集、3Dタイトル、360°ビデオ編集用には8GBを推奨)
OpenCLに対応するグラフィックカードまたはIntel HD Graphics 3000以降
256MBのVRAM(4K編集、3Dタイトル、360°ビデオ編集用には1GBを推奨)1
VRヘッドセットを利用するにはディスクリートグラフィックカードが必要です。最高のパフォーマンスのためにはAMD Radeon RX 580 8GBグラフィックカードを推奨します。
4GBのディスク空き容量

(以下、プレスリリースより引用)
Final Cut Pro 10.4のその他の特長:
・iPhoneやiPadで作成したiMovieプロジェクトをFinal Cut Proに簡単に読み込んで、高度な編集、オーディオ作業、モーショングラフィックス、カラーグレーディングを実行。
・HEVCおよびHEIFのサポートにより、それぞれの方式で圧縮されたビデオと写真をAppleデバイスから読み込んで編集することが可能。
・インターフェイスが再設計されてサイズ変更が可能になったLogic Pro® Xの最新のオーディオエフェクトプラグインを装備。
・Appleの先進的なグラフィックテクノロジーMetalを基盤とする、従来よりも高速かつ高品質なオプティカルフロー分析。

Motion 5.4 Compressor 4.4
Motion 5.4では、没入型の360度VRタイトルおよびエフェクトを作成して、そのままFinal Cut Proに読み込むことができます。最新アップデートにより、あらゆる種類のMotionプロジェクト間でいつでも簡単に変換できるようになるほか、新しいOvershoot ビヘイビアではバネ仕掛けのようなリアルなアニメーションや、新しいフィルタを使って写真のような見栄えを作り出したりできます。Compressor 4.4では、360度ビデオを業界標準のsphericalメタデータ付きで出力できます。また、HEVCおよびHDRビデオの書き出しに対応したほか、MXFファイルの出力時に様々な新しいオプションが追加されました。

関連情報リンク

Apple – Final Cut Pro X
Apple – ニュースリリース

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