BMD製品導入事例:2009年の閉園のフロリダ サイプレス・ガーデン、1930~80年代のアーカイブ映像数千本をCintel Scannerで保存

Blackmagic Designは17日、Cypress Gardens Treasureのポール・ゲリッシュ(Paul Gerrish)氏が1930~1980年代の16mm/35mmフィルムを6,000本近くスキャンする作業において、Cintel ScannerおよびDaVinci Resolve Studioが使用されていることを発表した。

フィルムや写真の提供元はCypress Gardens。フロリダ州最大級の植物園&テーマパークであったCypress Gardensは、2009年の閉園を迎えるまで “Water Ski Capital of the World(世界の水上スキーの中心)” として知られていたという。
現在その場所はレゴランド・フロリダとしてオープンしている。

ブラックマジックの発表によると、Cypress Gardensの歴史を保存して人々に伝えるという使命のもと、ゲリッシュ氏はフィルムを安全かつ低コストで保護できる方法を模索したという。


ゲリッシュ氏:「これらのアーカイブ素材にどれだけの価値があるか定かではなかったので、費用の面で大きな不安を抱えていました。過去にはフィルムをスキャンするという選択肢は考えられませんでした。費用はCintel Scannerの価格を大きく上回ってしまうと思います」


ゲリッシュ氏:「すでに300本近くスキャンしましたが、一切問題ありません。最大の心配だった収縮の問題もありません。ニトロセルロースの35mmもひとつ見つかり、Cintelでスキャンしました。1940年代のものでしたが、昨日撮影したかのようにクリアです。」

※ニトロセルロース
1889年、イーストマン・コダックがナイトレートフィルムを発売。このフィルムベースに使用されているニトロセルロースは、主に火薬や接着剤の原料として使用されているが、当時、フィルムベースとしては映写機とカメラのスプロケットに耐えうる堅固な素材だったため採用されていた。映画用フィルムとして1940年代まで主流であったが、ニトロセルロースをベースに使用していたため可燃性が高いだけでなく、自然発火するという難点があった。1948年、安全フィルムに置き換わっていったが、その後も度重なる火災、多くの犠牲者、歴史的な映画フィルムの焼失が幾度も発生している。
映画『ニュー・シネマ・パラダイス』に、これにまつわるエピソードが登場している。


ゲリッシュ氏:「通常はフィルムを24fpsでスキャンしますが、フィルムの状態があまり良くない場合は12fps前後で行います」


ゲリッシュ氏:「フィルムの末尾を先にロードしてしまう場合もありますが、古いリールをわざわざ巻き戻す必要はありません。Cintelはそのままスキャンできます。DaVinci Resolve Studioには優れた機能があり、スキャン後に速度を「反転」に変更できます。これでフィルムは自動的に調整できます。逆さのフィルムにも同じ機能が使用できます。カラーセクションのボタンをひとつ押すだけで自動調整できるので、最初のスキャンは逆方向でも逆さまでも問題ありません。」

スキャンが完了すると、ゲリッシュ氏はタイムラインに移動してカラー調整を行う。


ゲリッシュ氏:「ここでフィルムの向きを修正できます。さらに最も重要な作業として、ワイドスクリーンでギャップが生じないようにフィルムのサイズを変更できます。DaVinci Resolve Studioでカラーを調整して、デリバーページに切り替えます」


ゲリッシュ氏:「編集はあまり行いません。そのままの映像を保存したいからです。Cintelを頻繁に回し、ローラーのクリーニングはレンダリング中に行なっています。」

このプロジェクトの終了時には約4,000本のムービーがゲリッシュ氏の手元に残る予定だ。


ゲリッシュ氏:「これらのフィルムの多くは50年以上も誰も見ていないものです。世界にひとつしかない映像です」


ゲリッシュ氏:「フィルムの中にはバラエティ番組『エド・サリヴァン・ショー』もありました。Cypress Gardensの水上スキーをテーマとしたエピソードです。番組のために撮影した生のフッテージが50本以上ありましたね。他にも、ジョニー・カーソンが1968年に来園した際のフィルムが12本、ヨルダン国王の3度にわたる来園時のフィルム、さらには1957年のエドワード8世、ウォリス・シンプソンの来園時の映像もあります。すべて最高の映像です。Cintel Scannerがなければ保存できません。」

しかしゲリッシュ氏にとって重要なのは、著名人が登場する映像だけではない。


ゲリッシュ氏:「映像に映っている家族を見たいと、すでに何人かから連絡を受けています。一人の女性は、ご主人が写っているフィルム探したいと園に40年間も頼んでいたそうです。私はそのフィルムを見つけ、スキャンし、変換と書き出しを行なって、翌日に彼女に手渡すことができました。」

ゲリッシュ氏によれば、現在Cypress Gardensのドキュメンタリーを作成する話も持ち上がっているとのこと。制作過程でフッテージを簡単に確認、管理できるという観点においても、映像のデジタル化が持つ意味は計り知れない。
発表によると、ゲリッシュ氏はこれらの映像からDVDを作成し、YouTubeにもアップロードする予定だという。

関連情報リンク

Cintel Scanner
DaVinci Resolve


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