ブラックマジックデザイン、VR機能搭載のFusion 9を発表 Fusion 9 Studioは¥33,980へ大幅値下げ

Blackmagic Design は、ビジュアルエフェクト、合成、3D、モーショングラフィックのソフトウェア、Fusion 9 のメジャーアップデートを発表しました。
Fusion 9は最新のワークフローに対応できるように設計され、新しいVRツール、全く新しいキーヤー、平面トラッキング、カメラトラッキング、マルチユーザー・コラボレーションツールなどを搭載していると同社は発表しています。

Fusion9は同社製品ページから無償ダウンロードでき、Fusion Studioの価格も$999から、$299(税別33,980円)に値下げされたことも発表されました。
新価格は、多くのクラウドベースのサービスの年間使用料より安価なため、Fusion が一層手頃で、手の届きやすい存在に。月額使用料も発生しないため、購入後、将来的なアップグレードはユーザーの都合に合わせて行うことができます。

価格が大幅に下がったことで、DaVinci Resolve のユーザーは Fusion Studioをスタジオに導入しやすくなり、キーイング、ペイント、合成、トラッキング、モーショングラフィック、タイトルなどの様々な機能をワークフローへ取り入れ可能となりました。

また、クラウドへの接続や登録が不要なため、作業中に自動的にアップデートされる心配がなく、アップグレードは必要に応じて行えるので、大きなプロジェクトの完了後など都合に合わせてアップデートできる。また、Fusion はインターネットへの接続が不要で、ハッキングされる可能性も除外できるといいます。

発表されたアップデート概要

今回のメジャーリリースでVRツールが搭載。
360度の3Dワークスペースに加えて、新しいパノラマビューアを搭載し、Oculus RiftやHTC Viveなどの人気VRヘッドセットもサポートしている。GPUアクセラレーションにより高速処理が可能なため、ヘッドセットを使って、リアルタイムでバーチャルリアリティ内のエレメントを体験できる。
また、Fusion 9はステレオスコピックVRもサポートしている。さらに、新しい球体のSphericalカメラは、複雑なカメラリグを使わずに単一のパスですべての VRシーンをレンダリング可能。

Fusion 9に搭載された新しい平面トラッカーは、動きを計算し、シーン内で動いているオブジェクトにエレメントを正確に合成できる。例えば、シーン内の動く看板など、平らな物体とエレメントの置き換えなどに、新しい平面トラッカーは使用できる。平面トラッカーのデータは、シェイプをロトスコープする際にも使用可能。つまり、ロトスコープしたエレメントの動き、視点、位置、スケーリング、回転を映像の変化に合わせてマニュアルでアニメートする必要はないという。

また、Fusion 9に搭載された新しいカメラトラッカー機能は、シーンの実写のカメラの動きを分析し、3D空間で全く同じモーションパスをFusion内のカメラで再現し、これにより、オリジナルの動きと視点に完璧にマッチしたエレメントを合成できる。Fusionはショットを自動的に分析し、レンズの焦点距離や歪みを計算する。

Fusionのキーヤーツールも一層充実。
新しいイメージサイエンスと処理に加えて、Deltaキーヤーではマットフィネス・コントロールが使用でき、イメージのディテールを損なわずにクリーンなキーイングが可能。さらに、新しいクリーンプレートツールは、ライブアクションの映像のブルー/グリーンバックにおける、わずかな色むらを軽減させるため、キーイングが行いやすくなるという。

Fusion 9 Studioには、マルチユーザー・コラボレーションが行える新しいアプリケーション、Studio Playerが搭載され、ショットの再生用のプレイリスト、絵コンテ、タイムラインが使用できる。Studio Playerはバージョン履歴、注釈メモ、LUT の使用などに対応。
新しいStudio Playerは、Blackmagic DeckLinkおよびUltraStudioを介して出力ができるため、スタジオや劇場でのチェックや承認のためにショットの確認が必要な場合に最適な機能と説明している。
リモート同期機能は、世界中のあらゆる場所にある複数のStudio Playerの同期が可能。さらに、Fusion 9はビンサーバーを採用しているため、共有している素材やツールを各ワークステーションにコピーする必要はない。

また、Fusion 9 Studioでは無制限のネットワークレンダリングが行える。これにより、大規模なスタジオで、複雑なショットやハイエンドのVFXを多用した劇場フィルムをレンダリングする際に、コンピューターごとにライセンス費を払う必要はなくなった。
Fusion 9 Studioを購入し、ワークステーションにインストールした後、レンダリングに必要なコンピューターに数の制限なくインストールするだけで、追加費用や継続的な維持費を支払う必要なくネットワークレンダリングが可能。

上記すべての新機能に加え、Fusion 9はさらなるGPU/OpenCLアクセラレーションで高速化を実現。またFusion 9は、DNxHR、MXFを含む様々なフォーマットやファイル形式をサポート。今まで以上に幅広いワークフローに対応し、DaVinci Resolve ファイルとのシームレスな統合を提供するという。

リリースに際し、コメントも発表されています

Blackmagic Design CEO グラント・ペティ氏


ペティ氏:「Fusion は極めてパワフルで奥深いツールで、長年に渡ってハリウッドのトップレベルの VFX やモーショングラフィック・アーティストに使用されています」

「Fusion 9 には、ユーザーの皆様からたくさんのご要望をいただいていた機能やツールを新しく搭載し、対応フォーマット数も増え、最新のワークフローにも対応可能となっただけでなく、GPU および OpenCL アクセラレーションが向上しました。さらに、価格も大幅に引き下げました!これにより、今まで以上に Fusion が手の届きやすい存在となりました。また、新しいコラボレーションツールと無償の無制限ネットワークレンダリングを利用することで、大規模なスタジオでの仕事の仕方が変わることになるでしょう!」

以下はFusion 9に関してのFusionアーティストのコメントです。

Fred Pienkos氏 (Muse VFX 創始者兼VFX スーパーバイザー)
主な作品 “Teen Wolf,” “NCIS,” “Elementary,” “From Dusk Till Dawn: The Series”)


Pienkos氏:「ブラックマジックデザインがFusion9のために開発した数多くの機能を目の当たりにして大変嬉しく思っています。Planar トラッカーとカメラトラッカーは私が今まで見たもので一番速いですね。Occulus RiftとVR機能が搭載されたのも嬉しいです。」

「Fusionはいつでも最も手頃な価格で効率的そして最速な合成アプリケーションの一つでした。アップデートされた機能群を搭載したFusion 9は、今後もその中のトップを走ることになるでしょう。Fusion 9はブラックマジックデザインのチームの努力の賜物です。そしてこれは始まりに過ぎないのです。」

Alan Edward Bell氏
主な作品 “The Amazing Spider-Man,” “Catching Fire,” “Mockingjay Part One,” “Mockingjay Part Two,” “The Dark Tower”


Bell氏:「Fusionは私の編集プロセスの中で不可欠な要素で、もう何年も使ってきました。ブラックマジックデザインはFusionを改良し続け、今回のアップデートでPlanarトラッキングなどの数多くの新機能を搭載してきました。Fusionを使うことで、エディターが成しえなかったようなことが簡単にできるようになるんです!素晴らしい!」

関連情報リンク

Blackmagic Design – Fusion 9 製品ページ

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