「語るべき物語」を見つける。映画留学記

元記事

「語るべき物語」を見つける。【連載:映画留学記3】

2017年1月16日 | 出典:東大新聞オンライン

 他のフィルムスクールの卒業生や学生と話したところでは、コロンビア大は他の大学に比べると映画制作の技術よりもストーリーテリングに重きを置いているな、と感じました。ディレクティングの授業では、映像やサウンドのクオリティや「クールさ」よりも、人物の感情の動きをカットでどのように表現できるのか、ブロッキング(人物の配置)をどのように工夫するのか、といったことに重きを置いて講評がなされます。

 前回には触れませんでしたが、実は、この「ストーリーテリング」こそが、私がコロンビア大を受験した最大の理由でもありました。TVドラマはもちろんのこと、現在はネットのドラマシリーズ、Youtubeビデオ、ゲームやVRといったように、ヴィジュアルによるストーリーテリングのプラットフォームは続々と繁殖しています。その中で、媒体に関わらず「物語る」ための学びを手に入れたいと思い、ドラマに強いと言われていた東海岸のみを受験しました。

 コロンビア大のスクリーンライティングの授業では、すべての学生が短編・長編の脚本を執筆します。自分の中にあるドロドロした感情やトラウマなど、醜い部分をも直視した上で、その感情をどのようにエンターテイメントとして昇華・表現できるかを考えていきます。

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