監督が儲からない、日本の映画業界への不安

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監督が儲からない、日本の映画業界への不安

2016年12月26日 | 出典:dot.

「配給会社は利益を吸い取る。制作側がもうかるわけがない」

 絶好調の日本映画だが、手放しで喜べないという関係者は多い。理由の一つが「配給会社だけがもうかる」現状だ。冒頭の式にも出席していたある映画関係者が打ち明ける。

「津川さんの指摘は正しい」

 作品によって異なるが、日本では興行収入の5~6割を映画館が持っていき、あとは宣伝費に数億円、残りの3割程度が配給会社に入る。さらに残った分を製作委員会が分け合い、実際に手を動かした制作者の手元には、どんなにヒットしても最初に決めたギャラ以外入らないことが多い。

制作者が損をしない仕組みにできるか…映画業界の収益構造などについて関連記事を紹介

製作委員会方式とは? 映画製作の仕組みに関して

日本映画の「製作委員会」ってなに? 独特の慣習がはらむ功罪

2016年11月4日 | eizine

製作委員会ってなんだろう?
映画製作における資金調達の方法として、日本映画界で主流となった「製作委員会方式」について、当時金融業界で仕事をしていた筆者が、国内外の識者にお話を伺いながら調べた経緯を、先月から連載している。

先月の記事では、製作委員会という組織が法人格を持たない点に注目して、これに起因する、主にビジネス面における問題点を検証した。
具体的には、製作委員会はいわゆる「会社」ではなく、日本の民法上の「任意組合」にあたる組織であり、この特異性が原因となって、諸外国において、あらゆる日本映画のリメイク案件が頓挫してきた経緯を振り返った。


映画製作における収益構造とリクープに関して

『桐島、部活やめるってよ』やっと資金回収のメドに…拍手わく

2016年11月21日 | eizine

『桐島、部活やめるってよ』は2012年公開の日本映画。監督は『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』、『紙の月』などの吉田大八監督。
第34回ヨコハマ映画祭作品賞および監督賞をはじめ、第67回毎日映画コンクールで日本映画優秀賞および監督賞、第36回日本アカデミー賞では最優秀作品賞を含む3部門で最優秀賞を受賞した作品です。
「桐島」は6ヶ月にも及ぶロングラン上映がなされましたが、ようやく資金回収(リクープ)の目処が立ったとのことで…。
つくづく映画製作の難しさを感じさせます。


銀行はこう見る 国内/海外の映画業界の展望

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コンテンツ産業の展望 第2章 映画産業

みずほ銀行 産業調査部

主な費用としては P&A 費と呼ばれる劇場に配布するフィルムプリント代と広告宣伝費があり、配給会社が立て替える場合と製作会社が負担するケースの2通りがある。通常、興行収入のみでは製作会社は赤字となる場合が多く、劇場公開後のビデオソフト販売、有料放送・地上波放送への放映権販売に加え、キャラクター商品販売や海外販売等の二次利用によるトータル収益で黒字化を目指す。これらの権利運用戦略を「コンテンツ・ウィンドウモデル」と呼ぶ(【図表 2-2-4】)。映画ビジネスは、収益予測が難しいビジネスにも拘わらず、多額な製作費(邦画では数億円~数十億円)が必要であるが、作品がヒットすれば将来に亘り多額の収益獲得が可能となるハイリスク・ハイリターンビジネスである。なかでも、資金調達・製作を行う製作会社の事業リスクが最も高い。

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